君は私の唯一の光
「んー!面白かった!」




「クオリティ高かったな、予想以上に。」





(くち)コミは本当で、すごく凝ってた迷路。途中、ミッションとかクイズ的なものもあって、飽きなかった。





「乃々花、あの問題よく解けたな。」




「えへへ、戦国時代の歴史は得意なんだよね!」





歴史、得意でよかったぁ〜!役に立ったじゃん!入院中は、歴史かミステリーの小説ばっかり読んでたからね。





「この後どうする?」




「俺の準備開始時間まで、あと2時間くらいだな。」




「『白雪姫』、だっけ?」




「そ。俺が王子役とか、本当にウケる。」




「そう?洸夜、王子様みたいに素敵な人だから、絶対似合うと思うけど。」





洸夜は、みんなをトリコにしちゃう王子様に似てるよね。カッコいいし、優しいもん。






「……乃々花、そういうこと言うの、俺だけにしてよ?」




「え?洸夜以外に、そんな風に思える人いないよ!」




「……ならいいけど。」





「本当に危ない」って呟く洸夜の声は、私には届かず…………





「ねぇ、はやく行こっ!時間なくなっちゃう!」




「だな。」





洸夜の手を引いて、お化け屋敷のあるW棟2階へ向かう。3年生が作ったらしいお化けは、本物みたいなんだって!





「乃々花、はしゃぎすぎるなよ。」





そんな洸夜も、満面の笑み。……こんな日常が私にも訪れてくれて、本当に幸せ。




いつまでも、この平凡でありふれた毎日が続いてほしいよ。





「乃々花、お化け屋敷はこっち。」





最近判明した、私の方向音痴。おかげで、さっき洸夜の喫茶店に行くのにも大変だった。




私の手を引く洸夜の手は、大きくて暖かくて、安心する。






「なあ、乃々花。お化けとか、大丈夫なのか?」




「わかんない!」





お化け屋敷行ったことないし、ホラー系の小説とか映画とか見たことないもん。初めまして、ですよ。





「……まあ、頑張れ。」




「うん!」





なんにせよ、大丈夫でしょ!洸夜が隣にいてくれるし。





「怖かったら、すぐ言えよ。」って私を気遣ってくれる洸夜。ほんと、優しすぎるし。これじゃあ、女の子メロメロにしまくってるでしょ。……ちょっと、ヤキモチ。





「洸夜は私の彼氏だもん!」って、堂々と言えるようになりたい。





今も、洸夜を見てる女の人は沢山。みんなから好かれる洸夜の性格と、カッコいいルックスのせいだよ。おまけに、勉強もできちゃうなんて。





つくづく、私が彼女で大丈夫か?って思っちゃう。これ言ったら、洸夜は怒るんだけどね。本当に、女の子が喜ぶことが全部わかってるんだよ。






洸夜からの手紙は、寂しかったこの1週間に何度も読んだ。





それだけで、だいぶ心が救われたんだ。





この先、私は洸夜のいない世界で生きれないと思う。……洸夜も、そう思ってくれてたら、これ以上に嬉しいことはないよね。







洸夜、私をずっと隣にいさせてね?
< 82 / 97 >

この作品をシェア

pagetop