君は私の唯一の光
「じゃあ、行ってくるわ。」





「うん、頑張ってね!」






乃々花からの応援を受け、普段は使われない視聴覚室に行く。文化祭中、視聴覚室は俺ら2年B組の劇の準備部屋だ。







「お、主役来た!」





「神山、はやくして!」





「わりー。」






集合時間にちょっとだけ遅れた。仕方ないよな、乃々花と離れたくなかったんだ。






「先に、ヘアセットしてもらって!」





「え、これじゃダメなの?」






ヘアセットのために、朝早く来いって言ってたじゃん。俺、もう一回しなきゃならねーの?






「崩れてるところないか見てもらって。」





「へいへい。」






はぁ……この場に乃々花がいれば、ちょー頑張れるけどな。さっきバイバイしちゃったし。





乃々花、来てくんないかな………






「洸夜、いますか?」






うわ、幻聴だ……。ほんと勘弁しろよ。






「おい、洸夜。」





「んだよ。」





「かわいい子に呼ばれてんぞ。」





「…………」






ドアの方を見る。………唖然。







「乃々花!?」





まじ!?本物!?幻覚!?






「あ、あの、洸夜出てきてもらっても、いい?」





「……あ、うん。」





周りに冷やかされながら、視聴覚室を出る。





「乃々花、どうかしたか?」




「あのね、お兄ちゃんと夕菜さんに写真を撮ってくるようにお願いされてて……。だから、写真撮ろ?」





「………うん。」






いや、なんか、うん。嬉しい……けど、悲しい。姉貴たちに頼まれたから……っていうのは、要らなかった。




頼まれたから、仕方なく……って感じがする。多分、乃々花は特に考えてないんだろうけど。






「あ、あとね!」





「ん?」




「……私も、いつも以上にカッコいい洸夜と、写真撮りたいな、って。」





……かわいすぎんだろ。補足みたいに言うの、やばい。さっきまで気分下がってたから、爆上がり。





「うん、撮ろうか。」






「「「おまかせあれーーー!!!」」」






威勢のいい声と同時に、視聴覚室の扉が開いた。






「………」





中から出てきたのは、写真部のやつら。はぁ……。






「是非、撮らせてください!」





「あ、いいんですか!?」






「はい!」






「よろしくお願いします!」







乃々花、その気にさせられてるし。
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