ズルくてもいいから抱きしめて。
「カンパーイ!!」

神崎と2人で飲みに行く予定が、急遽他部署のやつらとの飲み会になった。

「可愛い神崎ちゃんに他の男がちょっかいかけてるからって、そんなに拗ねるなよ〜」

ニヤニヤしながら俺に話しかけてきたのは、隣に座る同期の中村だった。

「なんでお前まで参加してるんだよ。」

「俺はお前の相手をするために呼ばれたんだよ。それより、、、あれは良いわけ?」

中村が目配せする方に目をやると、神崎の隣には先ほど誘いに来た他部署の男が座っていた。

神崎のことを狙っているのは、誰が見ても分かるぐらいあからさまな態度だった。

「お前も気付いてると思うけど、神崎ちゃんって他部署でも話題になるぐらいめっちゃくちゃ可愛いんだよ。みんな仲良くなりたくて誘おうとするけど、神崎ちゃんのそばにはいつもお前が居るから邪魔なんだとさ。」

「邪魔って、、、俺は別に、、、」

「お前のせいで、神崎ちゃんがこのまま彼氏もできずお嫁に行けなかったらどうするんだよ。」

神崎にもし彼氏ができたら、その時は一緒に飲みにも行けなくなるのか、、、

もし俺が彼氏の立場だったら、上司であろうと男と2人で飲みに行くのは嫌だろうな、、、

もし俺が彼氏だったら、、、!?

なんだよその考え!!

神崎は妹だよ!!

ふと過った考えに俺の頭の中はパニックになり、持っていたビールを一気に飲み干した。

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