最後の一夜が授けた奇跡
「俺の家のことは大丈夫だから。親父を説得する。今、説得するために必要な試練にぶち当たってるんだ。」
「試練?」
「そう。でもクリアしたら親父は認めてくれる。」
「・・・どんな試練?」
「それは秘密だ。」
律樹はそれ以上言わない。

私に心配をかけないようにと、必要以上に仕事のことを言わない律樹。

「その試練をクリアしたら認めてもらえる。そしたらその日のうちにでも籍を入れたいんだよ。俺は。」
私の横に座り、私の頬に触れる律樹。

「いいの・・・?」
「早く籍を入れて、本当の家族になりたいな。」
「・・・」
律樹の提案に私は本当にいいのかと自信が持てない。
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