最後の一夜が授けた奇跡
「律樹・・・」
「季里のお母さんにも連絡して、そろそろ話をしないとならないと思ってたんだ。」

まだ体調も安定していなくて、律樹の家の問題もあった私たちは私の体調が落ち着いたら直接私の母には挨拶をしようと話していた。
律樹が本当は私が入院した時に連絡を入れると言っていたのを私が止めた。

「でも・・・」
律樹の家族のことが何も進んでいないまま勝手に籍を入れるわけにはいかない。

「何かがあった時、籍を入れてないと何もできないのがもどかしいんだよ。それに、子供が生まれる前には生活も安定させたいし。季里のお母さんにもちゃんと話をしたいし。」
「・・・」
口ごもる私の方へ律樹は近づき、ベッドに腰かけた。

今日も仕事から直接病院の面会に合わせてきてくれている。
この後仕事に戻る律樹。

日に日に疲れた顔がひどくなっているように感じる。
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