最後の一夜が授けた奇跡
「お前、俺の我慢をしらないな?」
「え?」
「これでもこらえてんだぞ?」
「何が?」
「季里の体の負担考えて」
律樹が何を言っているかわかって、私は思わず吹き出して笑った。

「笑い事じゃないんだからな。」
少し照れたように律樹は私を見てから、ベッドに座っている私の前にしゃがみ、私のお腹に抱き着くようにして額をお腹につけた。

「ここに大切な奇跡を抱えてるんだ。俺だって我慢もするし、なんだって努力もするけどさ。」
穏やかな微笑みは私に向ける微笑みとはやっぱり全然違う。

「生まれてもいないのに、こんなに愛おしいんだ。生まれたら、俺どうにかなるなきっと。」

私は律樹の髪を撫でながら微笑まずにはいられなかった。

私もこの人と一緒に、この奇跡を守っていく。
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