最後の一夜が授けた奇跡
「ここに名前書けるように、挨拶に行くか。」
帰り道、律樹が運転しながら私に言う。
私の手には母子手帳。
そこに今日もらったばかりのエコー写真が挟まれている。

「うん」
「ちゃんと大きくなってたし、安定してきてるからな。」
「うん」
「理事長にアポとってみる」
「うん」

急に現実味を帯びてきたことに私は緊張する。

「大丈夫。」
「うん」
ここまで律樹がほとんど一人で頑張ってくれたんだ。

私も一緒にがんばる時がやっと来たと思うと、いよいよという感じがする。

< 213 / 500 >

この作品をシェア

pagetop