最後の一夜が授けた奇跡
第17章 ~守りたいもの side 律樹~
「さて、結果は出ましたかね。」
石川財閥の代表がまたスーツ姿の男を数人ひきつれて約束していた時間に【ASAKAWA】に来た。

「わざわざお越しいただきありがとうございます。本来でしたら私からうかがうべきですが。」
ここで弱みを見せたらいけない。少しでも虚勢を張らないとならないと、俺は立ち上がり代表たちに近づきながら言う。
「いえいえ。今回のお話はあくまで我々からのご提案でしたから、とんでもございません。」
わざとらしい言い回しだ。

「どうぞ、おかけください。すみません、席が足りず簡易的ですが椅子を用意いたしました。本来でしたら会議室でお話させていただきたかったのですが、この場所をご希望されていらっしゃるとのことでしたので。」
俺からは石川財閥の本社での話し合いや【ASAKAWA】でも会議室での話し合いを提案した。ほかにも重役たちを呼び話し合いをすることを提案した。

でも、結局石川財閥の代表からの返事は【ASAKAWA】の社長室で、俺と話がしたいという内容だった。

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