ブラインドネス・シンドローム



「おっおはようございます、戸上先生!」


彼の名前は戸上 啓司先生で、ここは戸上先生の診療所の上にある先生の居住空間。

そこに私は入院という形の同居をし、先生の研究対象としてここで生活するということを昨日の夜二人で話し合って決めた話だ。

寝ぼけた顔を見られたことが妙に恥ずかしく、いつもなら寝起きに気にすることも無い髪に寝癖の有無すらも確認したくてしょうがない。

ベッドから起き上がろうとした私を制するかのように、先生が私の元へとやって来た。


「いつも通り動こうとすると怪我しちゃうよ。朝ごはん持ってきたから、一緒に食べよう」

「す、すみません……」

「こんなの入院してる人なんか普通にやってもらうことなんだから、こういうのは甘えなきゃダメだよ」


朝ごはんのいい香りが鼻腔を撫でるように刺激してきて、私は大人しくベッドの縁に座って先生の声掛けを待った。






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