翠玉の監察医 零度の教室

「えっ？」

圭介が訊ねると、マルティンは話を続ける。

「いじめって犯罪なんだよ。それが子どもだから何をしても罰せられないだけ。例えば、金を持って来ないと殴るぞと言うのは脅迫罪、殴ったり蹴ったりしたら暴行罪、物を壊したりするのは器物破損、被害者のありもしない話をでっち上げて流すのは名誉毀損、被害者を閉じ込めるのは監禁。全部犯罪じゃないか」

「……ただ、問題はいじめがあったという証拠がないだけね。机や教科書は綺麗にされて証拠を隠滅されているわ」

碧子の言葉に部屋の空気が重くなる。いじめられていた可能性があります、それだけを正人に伝えるわけにはいかない。

どうすればいじめの真実が明らかになるのか、蘭たちが話し合っていると世界法医学研究所のドアが開いた。