君中毒-Another Stories-



リビングのテーブルに置かれた、たくさんのお菓子。



クッキーに…チョコに、スナック菓子。


透明なコップには、オレンジジュースが注がれていた。




「ゆいちゃん、好きなだけ食べていいよ。」


「えっ!?本当に…?」



こくんと、笑顔で首を縦に振る坂井さん。




本当にいいのかな…


本当に食べちゃいますよー?



クッキーの袋に手を伸ばした途端、ゆいの脳裏をある記憶が過ぎった。




【小さな兄妹は、森へ入って…悪い魔女のおばあさんに捕まってしまいました。】



「…ゆいちゃん?」



【魔女は食べ物をたくさん与えて、ふたりを太らすと―…】




食べられ、る!




「…ごめんなさい…ゆい、まだ死にたくないんです…」


「…は?」


「釜戸にだけは、突き落とさないでください…」


「釜戸?何の話?」



今度は、きょとんとした坂井さんが首をかしげた。




「本当に?ゆいのこと、食べない…?」


「誰が誰を食べるの?」



笑いを堪える坂井さんの表情。




……あ、何だ…


ゆいの考えすぎか…




.
< 35 / 41 >

この作品をシェア

pagetop