君中毒-Another Stories-
リビングのテーブルに置かれた、たくさんのお菓子。
クッキーに…チョコに、スナック菓子。
透明なコップには、オレンジジュースが注がれていた。
「ゆいちゃん、好きなだけ食べていいよ。」
「えっ!?本当に…?」
こくんと、笑顔で首を縦に振る坂井さん。
本当にいいのかな…
本当に食べちゃいますよー?
クッキーの袋に手を伸ばした途端、ゆいの脳裏をある記憶が過ぎった。
【小さな兄妹は、森へ入って…悪い魔女のおばあさんに捕まってしまいました。】
「…ゆいちゃん?」
【魔女は食べ物をたくさん与えて、ふたりを太らすと―…】
食べられ、る!
「…ごめんなさい…ゆい、まだ死にたくないんです…」
「…は?」
「釜戸にだけは、突き落とさないでください…」
「釜戸?何の話?」
今度は、きょとんとした坂井さんが首をかしげた。
「本当に?ゆいのこと、食べない…?」
「誰が誰を食べるの?」
笑いを堪える坂井さんの表情。
……あ、何だ…
ゆいの考えすぎか…
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