君中毒-Another Stories-
『友達』だから。
『友達』だから―…
――ピンポーン
…また来てしまった…
「あー♪ゆいちゃん!」
ガチャ、と音を立てて開いたドアの隙間から坂井さんの顔が覗く。
「どーも…」
「学校帰り?入って!」
通されたのは、昨日ぶりの玄関。
昨日は無かった革靴が、荒く脱ぎ捨てられていた。
「ちゃんと靴箱に直した方がいいですよ?」
「あー…うん。見落としてた…」
「……え?」
「…あ、や…何でもない…」
見落とす?
その言葉の意味が分からなくて、首をかしげる。
「何でもないから!リビングにお菓子あるよ♪」
「はぁ…」
やっぱり、坂井さんは変な人だ。
ひとりでリビングへと進む坂井さんの後ろ姿を、ゆいも走って追いかけた。
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