人形師の憂鬱
朝、目が覚めた。

今日は一日何も無いのでゴロゴロ過ごすことにした。

『SNSでも見よーっと。』

いつものようにSNSを開き、何かないかと探す。

特に何も無いなぁと思いスマホの画面を閉じようとすると…

『なにこれ…』

そこにはDoll makerへの書き込みがあった。

“Doll maker様!いつも素敵な作品をありがとうございます!!”

“凄く憧れるわ…!!”

『なに…これ…殺人鬼に憧れる…??』

正直その書き込みを見なければよかったと思った。

だが、所詮はSNS。

嘘と本当が混じりあった世界。

『気分転換に出かけよーっと。』

一瞬だけ驚きはしたが、気にせず外へと出かける準備をした。

ーーーーーーーーーーーーーーショッピングモールーーーーーーーーーーーーー

家の近くにあるショッピングモールに着いた

『うわぁ…相変わらず人が多いねぇ〜』

今日は休日な為、家族連れも多い。

『あ、ここ新しくできたんだっけ??』

私は、ショッピングモールの中に新しくできた人形が置いてあるお店の前で立ち止まった。

(なんでよりによって人形屋さんなの…)

少し抵抗はあるものの、1度中に入ってみることにした。

「いらっしゃいませ。」

お店の中には女の人が一人だけ。

『ここ新しくできたお店ですよね??』

女の人は綺麗な微笑みを見せながら、言葉を放った。

「ええ、昨日オープンしたばかりなの。」

女の人はとても綺麗で、人形という言葉がとても似合う人だった。

『ここの人形は綺麗なものばかりですね!』

また女の人は微笑む。

「ふふっ。ありがとう。そう言って貰えると作ったかいがあったわ。」

どうやらお店の中の人形は全て女の人が作ったものらしい。

『人形師か何かですか??』

私の質問に女の人は…

「よくわかったわね?そう。私人形師なのよ。人形師の中でも1番私が若いのよ。」

人形師。

その言葉で昨日のことを思い出してしまう。

『あ、この人形可愛い。』

ふと目に入った人形は、黒のドレスをテーマにしている大人びた感じの人形。

「あら、じゃあそれあげるわ。」

女の人は微笑んで言う。

『いや、悪いですよ!!』

私が否定するも女の人は…

「いいのよ。初めてのお客様としてプレゼント。」

少し悪いと思いながらも、人形を貰うことになった。

『また来てもいいですか…??』

女の人は微笑みながら

「えぇ。貴方ならいつでも大歓迎よ。」

と言うので私も微笑んでその場を去った。
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