君は桜色。
『...わかってるよ。』

咲菜がしようとしていること。

それは、被験者のどちらかの死亡
という研究中止事項を実行させることだ。

スマホを持ったまま外に出て
咲菜の家に向かって走る。

彼女のことが好きだった。

いや、今でも好きなのだと気付く。

咲菜との思い出が記憶操作で
作られた偽りのものだったとしても
この気持ちに嘘はない。

彼女の家につくとピンポンも
押さずに中に踏み込んでいく。

咲菜の両親はどちらも
有名な記憶研究者で研究室に
寝泊まりしているからだ。

何度も訪れた記憶がある咲菜の部屋。

実際に来たことがあるのかすら
今の自分には判断がつかない。
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