ブエノスアイレスに咲く花

「友達から
 連絡がくるかもしれなかったから」

そう言って紫色のカクテルを
飲み干した彼女の目線は、
右手の薬指のシルバーのリングに落ちた。


連絡を待っていた友達が、
僕たち3人のような【関係】とは明らかに
違った種類のものだと悟った僕は、すぐに

【僕と相沢の水曜3限】がどれだけ退屈か、
に話を変えて、

今度から僕らもその【栄養学】の講義を
聞きに行くよ、と行った。

彼女は笑い、相沢は、
「スロットに優る興味が掻き立てられない」
と言って僕の提案を棄却した。



相手への好奇心と真実を知る勇気の量は、
必ずしも比例しないことを僕は知った。
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