誓いのstatice




私の手にグッと力が入る


「正直…俺は絵里に何も言えなかった」


「………」






「絵里はお袋が入院をしたって聞きつけて…俺の事まで心配してアメリカから日本に戻って来てくれた」



「……ッ」




「だから…絵里の気持ちにもちゃんと向き合わないといけないと思ったんだ」


「………」


私はマスターの話を
静かに聞く事しかできない



「…でも、やっぱり考え直しても同じだった」



マスターは真剣な瞳で私をみつめた


「俺にとって麻耶ちゃんは大切な存在なんだ。今もこれからも一緒にいたいと思ってるよ」



マスターのその言葉は純粋に嬉しかった



「……ッ!」
(私も”マスターは私にとって特別な存在”…だから…胸を張って1人の男性として"好き”って言いたい)




心の底からそぅ思った




そして
ポケットからブレスレットをとり出した




「このブレスレットには”大切な人と変わらない愛を誓い合う"っていう意味が込められているんです」




ブレスレットを握る私の手に力が入る



「私…彼氏と話し合ってきます」


「………」

「もぅ後ろめいた気持ちでマスターに会うのは辛いです…」


「……」


「マスターとしてではなく一人の男性として胸を張って優人さんに会いたい…。好きな人と一緒に時を過ごしたい」



「………」


「だから…次に会った時にはこのブレスレットつけてくれますか?」




「もちろん」

マスターは微笑みながら頷いた



「俺も絵里と話してくる」

「………」




「もしこの事が落ち着いたらまた俺と一緒にこの公園に来てくれないかな?」



「………」


「この場所で麻耶ちゃんにスターチスの花を受け取って欲しい」




「はい」



私も笑顔で頷いた




そして
私たちは約束した


(もう一度この場所で逢って愛を誓い合おう)



マスターは絵里さんと
私は勇樹と向き合うために


それぞれの想いを胸に秘め私達は公園を後にした




< 42 / 79 >

この作品をシェア

pagetop