誓いのstatice
第十三章【ふたつの婚約】


月日が経つのは早いもので
バイトの契約終了の日になった





「今日で最後かぁ……」

(短い間にこんなに思い出ができるなんてバイトを始めた時は思いもしなかったな…)



あの日以来
バイトに行ってもマスターの姿はなかった





意識は回復したものの
精神状態が不安定な絵里さんに
マスターが毎日付き添っているらしい


「おはようございます」



私はいつも通りに裏口からお店に入る




「おはよう、麻耶ちゃん…」





そこにはマスターの姿があった




「今までごめんね…
今日はたまたまお店に
顔を出せるようになったんだ」




マスターはどこか元気がない顔をしていた





「……絵里さんはもう大丈夫なんですか?」



「あ、うん……あのさ…俺…絵里と…」



マスターが話し始めたと同時に
お店の奥の方からマスターのお父さんの声がした


「優人ーこれ手伝ってくれ」


「分かった、今行く。……じゃぁ今日もよろしくね」




マスターはホールへと行ってしまった





(…何を言いかけたんだろう……)




私はマスターの言葉の続きが
気になってしょうがなかった

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