言えない二人
3年前〜高校一年生〜











放課後、私は今、友達の佐藤しおの委員会が終わるのを待っています。











「しおおっそー」






教室に誰もいないことをいいことに私は独り言を呟く












入学して1ヶ月。








中学からずっと一緒のしおとは、
高校も同じにする程の仲で、











服やメイクなど、共通の趣味があり、なんでも話せる親友だ。














「あれ、まだ帰ってないの?」










私しかいない教室に甘くて優しい声がすとんと落ちる













「わ、タイスケくん。友達待ってるの。」











同じクラスのイケメンのいきなりの登場に言葉がうまく出てこなかった。









「俺の名前、覚えてくれてたんだ。嬉しい」








「同じクラスなんだからわかるよ、笑」








え、私、今、イケメンと話してるんだけど。








人生で男子と関わる機会はほとんどなかった為、
私は脳をフル回転させて動揺を隠す














「ももちゃんだよね。」





 


そう言いながらタイスケくんは私の隣の席に座った。









いや、破壊力。











「た、タイスケくんこそなんで教室に?部活中だよね、今」






「あーなんか今、校内一生走んなきゃいけないやつやってて、だるくなって、きた。」










ねみい、と言いながらだらーんとするタイスケくんが目を瞑ったすきに、まじまじと顔面を見る











いやー。それにしてもいけめんだな。






ライダー系の主役とかやれちゃうんじゃないの?
ってくらいかっこいい。そりゃもてるわ。














見惚れていると、
いきなり、タイスケくんの目がくりんっと開いた















ふわっと笑う彼。

















「なんか可愛いね。ももちゃんって」


















タイスケを好きになるのなんて、簡単なことだった。








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