こいつ、俺の嫁。ーAnother my wife storyー
あれから先に入るとすぐ二人もついてきた。
階段を上って観客席に着くとまず大きな歓声が聞こえてきた。
「お、やってるな~」
周りを見渡してテツさんはさっきよりテンションが上がっている。
声のトーンは変わらないけど、好きなバレーを目の前にするといつもより感じが変わる。
テツさんは観たい試合があるのか体育館のコートをキョロキョロと見て、その近くへと歩いていく。
私と澪もテツさんの後について行き、澪の隣に座った。
座った席は前から3列目の席で、前の2列は試合校の応援団が座っていた。
「…テツさんが観たかったのってここのコートの?」
「そうそう。ま、2回戦なんて余裕だと思うけどな。
観に来いってうるせーんだよ」
かったるそうに頬杖をついてテツさんは言うけど、内心楽しみにしている表情であるのは私と澪しか気づかないだろう。