こいつ、俺の嫁。ーAnother my wife storyー
これなら澪とテツさんとボーリングに行った方が何百倍も楽しい。
澪の下手さをテツさんと爆笑してるのが楽しいんだよね。
自分の年を偽ってまで片想いの彼と仲良くなりたいなんて…
「…くだらない」
「…何がくだらねぇの?」
「…っ!?」
一人だと思ったから口を悪くしても大丈夫かと思って呟いた言葉はいつの間にか隣にいた男に聞かれていた。
いきなりのことで体が凍ったように固まった。
「おーい?…ってジュース溢れてるぞ!」
「…え、あ…!」
驚いたからドリンクバーのボタンを押していたことを忘れていた。
慌ててボタンから手を離したけど、少しワイシャツにジュースが飛び散った。
黒髪の彼はジャージのポケットからハンカチを出して体に触れないように優しく拭いてくれた。
「…あ、ありがとう…ございます」
小声でお礼を言えば彼はニッコリと明るい笑顔を見せた。