こいつ、俺の嫁。ーAnother my wife storyー



「…尋人?」


「…香夏子(かなこ)


「やっぱり尋人!相変わらず髪は伸ばしているのね」



私の隣の人とも目が合った瞬間に夜なのに眩しいくらいの笑顔で駆け寄ってきた。



近くで顔を見て思い出すのは中学の時に見たあの修羅場。
この人は部活ばっかでなんなのと言って彼を振った元カノだ。


「にしても久しぶりね!今は何してるの!?」


「…家の喫茶店手伝ってるけど」



彼女は私なんか視界に入れもせずに奴を少し頬を赤くして見つめている。



その表情だけで分かる。
まだこの人を諦めていない顔だ。



それだけで胸がチクリと痛みだす。



「ね、ここで会ったのも何かの縁だし今度飲みにでも行こうよ!
私もまだ地元にいるのよ」


「あー、悪い。俺今お前にかまってる余裕ないから」


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