こいつ、俺の嫁。ーAnother my wife storyー
この一言で彼女の表情が一気に鋭いものに変わった。
これはなんだかデジャブな感じがする。
「…何よ、ヒトがせっかく誘ってるのに!
もしかして、まだバレーなんてやってるの?ほんと懲りないわね~」
「…っ」
彼女に会った時から冷たい表情をしていたけど、この言葉で奴の眉間に皺が寄った。
「いい大人がまだ高校の時の部活引きずってるの?
今更続けたってプロにはなれるわけないんだから、やめて私と楽しいことしようよ~」
「おま…っ!」
なんでか分からない。
でも気付いたら私は彼女のお腹を鞄で思いっきり叩いていた。
私のことを見ていなかったせいか、彼女は予想以上に驚いて地面に尻餅をついた。
「今まで何も見てこなかったあんたに何が分かるの!?
こいつはね、バレーが大好きで大好きでずっと努力してきたの!
誰もが打ちたくなるようなトスを上げてるけど、でもそれは誰よりも練習して苦労してるから!
その努力を"バレーなんて"って言うな!
今までたいした努力もしてこなかったような奴がバレーを、こいつの努力を馬鹿にするな!!」
「…っ!!」
「…はぁ!?なんなのこの女…っ!」