転生令嬢はご隠居生活を送りたい! 王太子殿下との婚約はご遠慮させていただきたく
 友人達は、十年の間都に住んでいたので、アイリーシャよりずっとこの周囲のことに詳しい。今日は、彼女達に任せる予定だ。

「まずは、ケーキを食べに行くわよ。それから、服を見に行くの。アクセサリーもね」

 最初に連れていかれたのは、最近人気だというカフェだった。
 店の外に並んでいる人もいたけれど、事前に予約を入れていたそうで、すんなりと中に入ることができた。

「ここに来るの久しぶり! 甘いもの、嬉しい!」

 運ばれてきたケーキに、ミリアムは目を細めた。ちょっとぽっちゃりなのを気にしているため、日頃はスイーツ厳禁らしい。こうやって、街に出た時だけ自分を甘やかすのだとか。

「王宮勤めって思っていたより大変。そっちは?」

 ダリアもやや、疲れたような顔だ。王妃付きの侍女には希望者殺到で、なかなかなれるものではないらしい。その分、気を遣うことが多いそうだ。

「私も、思っていたより大変かも。どこにいても、見られてる気がするって言うか」

 父の領地にいた頃は、もっと気を楽に過ごすことができていた。
三日に一度、ミカルが指導にやってきて、彼の指導を受けたあとは、ひたすら復習。
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