転生令嬢はご隠居生活を送りたい! 王太子殿下との婚約はご遠慮させていただきたく
 ルルが、アイリーシャの前に身を伏せる。元の大きさになったルルなら、アイリーシャ一人くらいならば乗せられそうだ。

「俺も行く!」
「あなたは無理! 諦めて」

 血相を変えたエドアルトが、ついてこようとするのをルルは止めた。たしかに、二人は無理そうだ。

「無理とか言うな! アイリーシャ一人を、行かせるわけにはいかないだろう! 今度こそ、守ると決めた!」
「まったく暑苦しいねぇ、君は」
「黙れ!」

 なんでエドアルトと神様がやり合っているのだ。思わず額に手を当てる。
 こんなことでやり合っていられるほど、今は暇ではないはずなのに。

「いいわよいいわよ、私が乗せたらいいんでしょ!」

 やけっぱちの勢いでルルが叫び、ルルの背中に同乗させてもらうこととなる。
 用心深くルルの背中にまたがると、後ろにエドアルトの重みを感じた。

「落ちるなよ」

 背後から聞こえた声に、こんな時なのに息がつまりそうになる。身体に回された腕は力強くて、緊張感がすぅっと抜けていくような気がした。
 窓から勢いよく飛び出したルルは、一気に空高く駆けあがる。
 教会までは、直線距離ならばすぐだ。

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