転生令嬢はご隠居生活を送りたい! 王太子殿下との婚約はご遠慮させていただきたく
 この時期には、地方からも商機を求めてたくさんの人が首都にやってくる。扱う商品は、ラベンダーを使ったものが多いけれど、それ以外の品もたくさんある。地方から来た人達は、王宮前の広場に屋台を出す。
 さらには、若い未婚の男女が出会いを求めて町へ繰り出したり、想い人に気持ちを告げる機会になっていたりと祭りの意味は変化している。子供達にとっては、街中に出ている屋台でおいしものを食べるチャンスだ。

「兄様、早く!」

 シュタッドミュラー公爵家でも、毎年ラベンダー祭りの時期には城下街に出かけていく。
 父は、新しい製品の中によいものがあれば、領地で取り扱うつもりでいるし、母も今までより肌に合う化粧水があれば乗り換えるつもりで探しに出るのだ。
もちろん、公爵家には商人達からそういった品々が献上されているのだけれど、こういう時に自分の目で探すのが楽しいらしい。

(たぶん、街中に出るための口実よねぇ……)

 アイリーシャだってわくわくしている。前世の記憶がよみがえってから、街に出るのは初めてなのだ。

(去年はどうしていたっけ)

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