腹黒幼馴染、天使を捕獲する。
「お母さん!
元カノがいるのなんて当たり前。
そんなのお姉ちゃんだってわかってるわよ。
そうじゃなくて、その元カノが、よーく知っているお友達だって言うところが問題なの!
わかる?」

「えぇ〜? そんなの気になる?」

「……まあ、普通は嫌なんじゃないか?
光、そう言うことなら断っておくよ。
でも、お前、本当に誰かいないのか?」

うーん。
ここで賢人の名前は絶対出せない。
そもそも付き合ってるわけじゃないし。

でも、本当にだーれもいないのよね。
なんか、こう……匂わせた方がいいのかしら。

……いや、正直に言った方が気がラクだ。

「あのね、私、まだあまり興味ないのよ。
結婚って……。
今の仕事で忙しい生活、気に入ってるし。
んー、いつかお父さん達や、メグみたいにきっと誰か現れるよ。
それを気長に待つ。
今はそれくらいで充分なんだ」

うん。
これは本当。
いつも思ってることだから。
焦る気持ちはない。
孫はきっとメグが用意してくれる。
うん。
問題ないよ。

「本人に焦る気持ちがないってのが問題よね」

母が呆れたように言う。

「……そうか。
まあ、光のペースがあるからな。
ただ、いい人が出来たら紹介はしてくれるね?」

「アハハ……いい人が出来たらね?
うん。ちゃんと紹介する」

「じゃあこの話は終わりだ」

「もう! 結局お父さんは光に甘いのよ。
んー。HASEGAWAの方でもちょっと考えるわ。
社長秘書だと、他の社員と接触が少ないからねー。
あ、愛ちゃんにも相談してみようかしら」

エェ……
やめてよー。
せっかくお父さんが諦めてくれたのに〜。
< 54 / 215 >

この作品をシェア

pagetop