腹黒幼馴染、天使を捕獲する。
他大学の3年生の先輩が同じ方向だったため、同じ電車で帰ることになった。

その先輩、今井さんは、他の人ほど酔ってはいなくて、ちゃんとお話出来たし、しっかり歩いていた。サークルの中では特に目立つ感じではなかったけど、喋ってみると気さくで、会話の弾む人だった。

たまたま降りる駅も同じだったらしい。
私のマンションは駅から徒歩3分の好立地で、たどり着くまでに危ないと感じるところは全くない。

でも、通り道だからと、マンションの入り口まで送ってくれた。
そこで今井さんが言ったのだ。

「あ、光ちゃん、悪いんだけど、トイレを貸してくれる?
うちまで我慢出来そうにないわ」

と。
一瞬、どうしようかと思ったけど、それまでとても紳士的でお話も弾んだので、トイレを貸すことにした。
生理現象だもの。
仕方がないと思って。
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