腹黒幼馴染、天使を捕獲する。
「は? 何が?」

「ちょっと離れて。
こんなところ誰かに見られたら大変よ。
私、卒業までいられなくなっちゃう!」

「え? なんでだ。
いや、誰もいないし。
こんな寒いところ……」

「賢人のファンは全学年にいるのよ?
怖い怖い。睨まれちゃうよ」

それなら俺は学園の男どもに殺される……。
自分のことは棚に上げて……いや、鈍感だから仕方がないのか?

けど、睨まれても殺されかけても、俺は諦めないけど。

「そんなのさー、誰に見られても平気だけど。
それに、別に俺は誰からも好かれたいわけじゃない。
……俺が好きなやつ、ただ1人の女に好かれたいんだ」

光とならむしろ噂になりたい。

「うん。そうだね。
好きな人に好かれたい気持ちはわかる。
でも、学園のアイドルの賢人が落とせない子っているの?」

いるんだよ、目の前に。

「……」

「え、どんな子?」

だからお前だよ。
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