Water lily〜許されぬ罪〜
私は世界平和の先駆者じゃなくて、ただの殺人犯となってしまった。こんな私は生きている価値などない。

はしごを登り切ったら、底の見えない闇が目の前に広がっていた。夜風がふわりと髪を撫でていく。

ふと、前に見た夢を思い出す。自分が自分の首を絞める恐ろしい夢。でも自殺って自分で自分のことを殺すのだから、あの時見た夢はきっと正夢だったんだ。

まだ夜は明けない。暗闇が広がっている。私は最期に街を見下ろす。光が輝き続けている。この平和な光景が偽りではなく本物になるように私は装置を起動させる。そして、その中に飛び込んだ。

青白い光が見えていく。私の体は肉のかけらすら残さず消えていくんだろう。でもそれでいい。私のいない朝は今よりもきっと素晴らしいんだから……。

真っ青な光に包まれて、綺麗。そして私の記憶は真っ白に溶かされて消えた。





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