私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
「あなたと恋人になった覚えはありません。普通なら国家警察に突き出すところよ」
隼人の発言を聞いて呆れ顔で言うが、彼は軽いノリで私を口説こうとする。
「え〜、俺、風磨家の次期当主だよ。俺たちお似合いだと思うんだけどな」
その目は楽しそうに笑っていて、私が思うに本気ではない。
多分、毎日この部屋に忍び込む本当の目的は、私ではなく尊の結界を破ることにあるのだろう。
尊もいい好敵手が現れたとばかりに最近生き生きとしている。
お互い切磋琢磨していて意外にいい関係なのかもしれない。
でも、巻き込まれる私にとってはいい迷惑だ。
もう最近寝不足で眠い。
チラッと壁時計に目を向ければ、まだ朝の四時を回ったところ。
夜這いという時間ではないし、起床時間でもない。
寝不足は美容に悪いのに。
「琥珀くん、そこのチャラ男を裏山にでも放り投げておいてくれる?」
琥珀くんに声をかけると、彼はニコニコ顔で返事をした。
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