私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
「了解〜」
大猫に変身し、隼人をパクッと咥え琥珀くんはこの場から消える。
今この部屋にいるのは尊と私だけ。
うわー、どうしよう。
尊と何を話せばいい?
露天風呂での件があって、彼のことを意識してしまう。
今までも登校時に手の甲にキスしたり、怪我を治すために患部に口付けることはあったが、あれは冗談半分にやっていた。
でも、露天風呂でのキスは違う。
尊は野生のオスのような目で私に口付けてきて……。
しかも、私の胸に触れた。
それだけじゃない。
露天風呂で気を失った私に浴衣も着せたのだ。
尊が私のベッドまで来て、酷く緊張した。
「まだ起きるのは早いですから、寝ていてください。目の下に隈が出来ていますよ」
屈んで彼が私の顔に触れてきてドキッ。
その目は私をまっすぐに見つめている。
絶対に私の動揺も尊に伝わっているはず。
「そ、それはあのチャラ男が私の睡眠を邪魔するからよ」
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