私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
「ホント、救いようがないわね。風磨家の将来が不安だわ」
「さあ、撫子お嬢さま、あれは無視して行ってください」
害虫を見るような目で隼人を見ると、尊は隙のない笑顔で私を送り出す。
「ええ。行ってきます」
尊や琥珀くんに手を振り、学校の門をくぐると春乃もやって来て、一緒に教室に向かった。
席に座って窓の外を見ていたら、隼人が登校して来た女子学生に声をかけている。
「もう、あのチャラ男は〜」
小さく悪態をついたその時、男性の声がして驚いた。
「誰か不審者でもいるのか?」
私の目の前にいたのは年が三十くらいの紺の背広姿の男性。
背は尊よりもさらに高くて、少し筋肉質な体型をしている。
髪は明るい茶色で、肌は小麦色。
近くでは見ないタイプのハンサム。
この人……誰?
「……いえ。変な虫が飛んでいたもので」
その顔をじっと見ながら答えたら、男性はクスッと笑った。その手には出席簿が握られている。
「そうか。じゃあ、みんな席に着いて」
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