私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
「悪い、悪い。でもさあ、天月家の当主がいたら封印も破られなかっただろうにね。どうして天月家は滅んだのかなあ。天月家の当主の子供も死んだらしいじゃないか。親父に聞いても『知らん』しか言わなくてさあ」
天月家の話題はタブーとなっていて、四大宗家の集まりでも誰も口にしない。
「是清さんからは何も聞いていない。そもそも俺は四大宗家の血は引いていないし、俺が天月家のことを詳しく知っているわけがないだろ」
無表情で言い返す俺の顔を見て、隼人が二パッと笑った。
「うん。そうだよね。ちょっと聞いてみたくてさあ。俺は天月家の当主がどんな力を持っていたかも知らないし、興味があってね。会ってみたかったんだ」
「生きてたら、俺も会いたいよ」
ポツリと呟く俺を見て、彼は鋭く目を光らせた。
「ふーん。会ってみたいじゃなくて、会いたいんだ?なんか無関心装ってる尊の方が俺より思いが強そう」
「別に深い意味はない」
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