私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
「いいや。親父は封印の時に天月の当主と一緒にいたようだが俺は一度も。今回封印が破られたのがわかったのも、湖を見張らせていた親父の式神が消されたからなんだ」
その話は是清さんからも聞いている。
鬼を封印する時、四大宗家の当主も勢揃いしていたらしい。
「なるほどね。まだお前も現場を見ていないわけか」
足を組み直して隼人の話に相槌を打つと、彼は俺の分の弁当をパクパク口にした。
「まあね。でもさあ、尊は瞬間移動の術が使えるみたいだけど、なんでわざわざ列車に乗るの?」
「昔、封印された場所に瞬間移動で行こうとしたが、何度試してもダメだったからだ。封印のせいかもしれない」
「へえ。封印の力が強すぎてってことなのかな。その封印を解くなんて恐怖を感じるね。人間がたくさん殺されて湖が血の色に染まっていないことを祈るよ」
「お前、とびきりの笑顔でそんなこと言うな。縁起でもない」
スーッと目を細めて隼人を注意すると、彼はどこか謎めいた表情を浮かべた。
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