私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
「隼人、琥珀、しばらく鬼を引きつけてくれ!」
大声でそう叫ぶと、マグマ風呂を見据えて呪文を唱えた。
すると、ぐつぐつ煮え立っていたマグマが一瞬にして凍る。
「いや〜、神業だよね。尊が味方でよかったわ」
感心しながら凍ったマグマ風呂を眺める隼人の言葉に琥珀が調子よく相槌を打った。
「ホント、ホント」
だが、喜んではいられない。
まだ煌と対戦していない。
「もたもたしている暇はない。行くぞ」
一刻も早く撫子を救いたい。
隼人と琥珀に声をかけると、くねくねした岩の通路を駆け上がる。
邪魔をする鬼もいるが、もう数は少ない。
鬼を剣で倒し、城の天辺まで上りつめたところで岩の空間が西洋のお城の玉座の間に変化した。
玉座には背広姿の煌が笑みを称えて座っていて、彼から少し離れた場所で撫子が足枷をつけられ、床にぐったりと横たわっている。
その首筋には血を吸われた痕があった。
それを見て心が乱れた。
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