私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
しれっとした顔で言えば、彼女はホッと安堵の溜め息をつく。
「じゃあ、無事だったんだね。よかった……って、撫子、鼻から血が出てるよ」
「あっ……。ちょっと貧血気味かな。でも甘い物食べたら治るよ」
春乃の指摘に、ハンカチを出してすぐに血を拭う。
多分、さっき猫を治癒したからだろう。
少し身体がふらつく。
「大丈夫なの?」
「うん。平気。慣れてるから」
ヘラヘラ笑ってみせると、ふたりで甘味処へ行った。
席に着き、壁に貼られているお品書きを見ながら店員に「あんみつください」と注文する。すると、前の席に座っている春乃も弾んだ声で言った。
「私もあんみつください」
「春乃もあんみつにしたんだ。でも、学校帰りにこうしてふたりで寄り道するの初めてだね。おうちの迎えとか大丈夫?」
うちはいいが彼女のことが気になった。
男爵家の令嬢がいないと騒ぎにならないか心配だ。
「うん。秋さんにもらった式神に言伝を頼んだから」
春乃は着物の懐から人型の和紙を出して私に見せた。
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