私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
「今日はやけに素直ですね。いつもそうだといいのですが、逆に気持ち悪い」
その失礼な物言いにカッとなって彼の腕を掴んだ。
「尊、あのねえ!」
「そうそう、それですよ。お嬢さは元気でなければ困ります。但し、もう勝手な行動は慎むように」
ちょっと意地悪く、それでいて優しく目を細める彼。
元気づけ、注意もちゃんとするところは流石だと思う。
「はい。すみません」
しゅんとなる私に彼は執事らしい口調で尋ねた。
「喉が渇きませんか?」
「うん。喉カラカラかも」
素直にそう答えたら、尊が椅子か立ち上がり、近くのテーブルの上に置いてあった水差しを掴んでコップに水を入れ私に差し出す。
「さあ、どうぞ。なんなら、私が口移しで飲ませましょうか?」
澄まし顔で言う彼の軽口に顔がカーッと熱くなる。
「あ、あのね、乙女の唇をなんだと思ってるのよ。自分で飲みます!」
動揺しながら尊に噛み付くと、彼の手からコップを受け取ってゴクゴクと飲んだ。
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