私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
なんとか尊のご機嫌を取ろうとしても、彼は眉間にシワを寄せる。
「やっぱり団子目的じゃないですか」
「楽しければなんでもいいの。尊は遠出しても執事服よね。別の服だってあるでしょう?旅行する時ぐらい脱いだら?」
車で四時間かけてうちの別荘に私と尊と琥珀くんの三人でやってきたのだが、私の執事は仕事モードを決して崩さない。
普段ずっとむっつり顔の彼にもリラックスしてもらいたいのにな。
「私にとっては旅行ではなく、今も勤務中です」
素っ気なく返され、彼をじっとりと見て言い返した。
「お世話を頼んだ覚えはないけど」
「勝手な行動をしてつい先日鬼に血を吸われたのは誰ですか?」
尊の刺々しい口調にカッとなって、彼の腕を掴んで声を荒らげた。
「この陰険男!それは謝ったじゃないの!」
「淑女はそんな大声を出しませんよ」
「尊がそうさせてるの!」
売り言葉に買い言葉。
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