HONEYBEE(2)~ハイスぺ社長と二度目のウエディングベル~
父さんはどんな夢を見ているんだろうか?
俺の命と引き替えに亡くなった愛しの母さんとの幸せだった時の夢か?

今考えると父さんは俺と葵の仲に嫉妬していたんだと思う。

俺は階段から転落して葵のコトを忘れ、他のオトコに奪われてしまった。
お望み通り、俺と葵は別れた。

葵に慰謝料も渡したし、これで全部おしまいだ。

―――俺と彼女は別々の道を歩む。

「父さん…何とか言えよ!!」

俺は何も言わない父に行き場のない怒りをぶつける。

「・・・俺は…」

「社長…」

外で待って居た柏原が俺の大声を訊いて、病室に入って来た。

「会長を責めても…仕方ありませんよ…社長」

「分かってる…」

父にもっと言いたい恨み言を喉の奥に飲み込んで、グッと堪えた。

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