HONEYBEE(2)~ハイスぺ社長と二度目のウエディングベル~
アイロンのかかった白いシャツの夏用の制服に身を包んだ水瀬さん。

俺よりも少し高めの高身長にスリムな体型。
精悍な顔立ちに落ち着いた風貌。

葵を包み込むような包容力のある男性だった。

「初めまして…水瀬凜太朗です…」

「俺は宇佐美充斗…貴方が…葵の…」

「・・・妻から貴方のコトは訊いていますよ…」
葵を妻と呼ぶ男が俺の目の前に立っていた。
胸が酷く締め付けられる。
苦虫を嚙み潰したようなキモチ。
―――葵は俺にとって最初で最後に愛した女性。
他の女性にはココロが開けない。
「…そうですか…何と言えば良いのか…言葉が見つかりません…」

「当然だろうな…四年も音沙汰がなしで、急に葵に連絡を取って来て何のつもりですか?」
彼は俺の睨み据え、語気を強める。
水瀬さんが激怒するのは当然。俺はどんな形にしろ葵を捨てた男。

葵は水瀬さんと結婚し、子供を儲け幸せな家庭を築いている。

水瀬さんからすれば、俺はその幸せな家庭を脅かす輩。

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