逢いたくて・・・今 律子side
言われたとおり、土曜日の夜、Angel Soul へ行った。和弘はすでに来ていた。

「待った?」

淡々とした調子で私は言った。

「いえ・・・今、来たところです。・・・今日、彼女に別れを告げて来ました」

「えっ・・・」

本当に、別れてくるなんて。戸惑いの色が隠せない。ここまでまじめな男って、国宝級ものだわ。

「あなたは、私のボーイフレンドの1人よ。それ以上でも、それ以下でもない。あなたを独占しようと思ったことなんて一度もないわ」

「そんな・・・」

「彼女に謝って、やり直してもらえば・・・?」

「・・・っ。最低だな、君は」

「これが私のやり方なの」

吐き捨てるように言った。こんな重い男、冗談じゃない。

和弘は、別れたばかりの彼女に、想いを馳せているようだった。

彼は、どうするつもりだろうか。

まぁ、私には関係ないけどっ。

すぐに謝れば許してもらえるんじゃない?

そんなに、逢いたくてたまらない相手がいることに、すこし嫉妬心は湧いたけれど、それだけだった。

*THE END*
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