耽溺愛2-クールな准教授と暮らしていますー

「今日はここまでです」

怜がそう言ってマイクを置いた瞬間、講義室のスピーカーからチャイムが鳴り始めた。
講義室にチャイムが鳴り響いている中、ガタガタと学生たちが席を立っていく。

(れいちゃん、ここで待ってたら通りかかるかな?)

出口は美寧の後ろの通路にしかない。
教材をまとめている怜の姿を見つめながら、美寧は座ったまま彼を待つことにした。

すると、前の方に座っていた女子学生三人が教壇に駆け寄った。
ここからは何を話しているかは聞こえないけれど、手に持ったテキストを指さしながら話しているので、きっと何か質問があったのだろう。怜も彼女たちの指さすところを目で追っているようだ。

自分とそう変わらない年齢の女子学生たち。
彼女たちの質問に答えている怜。それを見上げる彼女たちの頬はみな桃色に染まっている。

美寧だって大学に通っていてもおかしくない年ごろだ。けれど、彼女たちは自分とは全然違って見えた。

明るく染めた栗色の髪。流行に乗ったファッション。お化粧をしているのは遠目でも分かる。

(みんなすごくキレイ……)

美寧はこれまで考えたことすらなかった自分の容姿を振り返る。
色素の薄い髪は真っ黒ではないけれど茶色くもない。服装は、着心地が良いところが自分では気に入っているものの、平凡なワンピース。化粧に至っては、日焼け止め以外のものを塗ったことすら無い。

(今私が声を掛けたら、れいちゃんが恥ずかしいかも……)

呑気にここまでやってきた自分が少し恥ずかしかった。
と同時に、モヤモヤとしたものが美寧の胸に渦巻く。

(れいちゃん、すごく人気なんだ………)

女子学生が質問する姿を遠目に見ながら、美寧は思う。
涼香も言っていたじゃないか、『黙ってても女の子達が寄ってくる』のだと。

あれから何度か怜がモテることが話題に上った時、美寧は『怜は素敵な男性なのだからモテるのは当たり前だ』と納得していた。

けれど今。それを目の当たりにしてみると、その時とは違う黒い(もや)が胸の奥に広がっていく。これ以上その光景を見ていたくなかった。

教室の外で怜が出てくるのを待つことにして、美寧は席を立ち、学生の波に紛れ静かに教室の外に出た。

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