耽溺愛2-クールな准教授と暮らしていますー
[1]
「ミネ。今日の夕飯はお節でいいですか?」
怜に声を掛けられた美寧は、スマホから顔を上げる。
「もちろん!れいちゃんのお節、楽しみにしてたの。黒豆、すごく美味しかったし!」
美寧は味見をした時のことを思い出して、目を輝かせた。
美寧と怜が入籍してから、ちょうど一週間。
二人が座るソファーの前のローテーブルには、二つのマグカップ。今や、すっかり休憩の定番となった【ラプワール スペシャルブレンド】が湯気を立てている。
新しい年の初めの日の昼下がり。読書をする怜の隣で、美寧はスマホでメッセージを送っていた。新年の挨拶のメッセージをくれた涼香と杏奈への返信だ。ついさっき神社で撮った寒椿の写真も添付した。その美寧は胸の前に、あるものを抱えていて———。
「ミネが作ってくれた栗きんとんも、とても上手に出来てましたよ」
「ありがとう!……ふふっ、れいちゃんが教えてくれたからうまく出来たんだね」
数日前から怜が少しずつ準備していたのは“お節”。美寧ももちろんお節作りに参加した。
美寧が手伝ったのは“栗きんとん”。
さつま芋の皮は厚めに剥くほうが、口当たりがなめらかになるらしく、それなら自分にも出来ると役を買って出た。
漉し器で裏ごしするのは大変だったけれど、怜が自分で煮た“栗の甘露煮”と合わさった瞬間、何とも言えない達成感があった。
味見をした黒豆は、怜が時間をかけてザラメのシロップで煮たもので、ほっくりとした感触と優しい甘さの中にほんのりと塩気もあっていくらでも食べられそう。その味と艶々と美しく黒光りする見た目を思い出して、美寧は思わずうっとりとしてしまう。
豆を煮る時に「釘」を入れるのにびっくりしていると、「より色を黒くするため」だと怜が教えてくれた。
他にも“田作り”や“伊達巻”、“紅白なます”などの定番メニューに加え、“くわい入り筑前煮”やローストビーフ、エスニックな味付けの“有頭焼きエビ”など、多様なものが少しずつ入れられた「お重」は、まるで玉手箱みたいで開けるのが楽しみだ。
初めて作った“お節”を食べるのが楽しみで仕方ない、といった表情の美寧に、怜の目元が自然とゆるむ。
「ミネ。今日の夕飯はお節でいいですか?」
怜に声を掛けられた美寧は、スマホから顔を上げる。
「もちろん!れいちゃんのお節、楽しみにしてたの。黒豆、すごく美味しかったし!」
美寧は味見をした時のことを思い出して、目を輝かせた。
美寧と怜が入籍してから、ちょうど一週間。
二人が座るソファーの前のローテーブルには、二つのマグカップ。今や、すっかり休憩の定番となった【ラプワール スペシャルブレンド】が湯気を立てている。
新しい年の初めの日の昼下がり。読書をする怜の隣で、美寧はスマホでメッセージを送っていた。新年の挨拶のメッセージをくれた涼香と杏奈への返信だ。ついさっき神社で撮った寒椿の写真も添付した。その美寧は胸の前に、あるものを抱えていて———。
「ミネが作ってくれた栗きんとんも、とても上手に出来てましたよ」
「ありがとう!……ふふっ、れいちゃんが教えてくれたからうまく出来たんだね」
数日前から怜が少しずつ準備していたのは“お節”。美寧ももちろんお節作りに参加した。
美寧が手伝ったのは“栗きんとん”。
さつま芋の皮は厚めに剥くほうが、口当たりがなめらかになるらしく、それなら自分にも出来ると役を買って出た。
漉し器で裏ごしするのは大変だったけれど、怜が自分で煮た“栗の甘露煮”と合わさった瞬間、何とも言えない達成感があった。
味見をした黒豆は、怜が時間をかけてザラメのシロップで煮たもので、ほっくりとした感触と優しい甘さの中にほんのりと塩気もあっていくらでも食べられそう。その味と艶々と美しく黒光りする見た目を思い出して、美寧は思わずうっとりとしてしまう。
豆を煮る時に「釘」を入れるのにびっくりしていると、「より色を黒くするため」だと怜が教えてくれた。
他にも“田作り”や“伊達巻”、“紅白なます”などの定番メニューに加え、“くわい入り筑前煮”やローストビーフ、エスニックな味付けの“有頭焼きエビ”など、多様なものが少しずつ入れられた「お重」は、まるで玉手箱みたいで開けるのが楽しみだ。
初めて作った“お節”を食べるのが楽しみで仕方ない、といった表情の美寧に、怜の目元が自然とゆるむ。