偽りの花婿は花嫁に真の愛を誓う
「では、大事にお借りします!」

もう一度あたまを下げ、屋上庭園の会場へと戻った。

「すみません、すぐに準備します!」

水屋では家元が、苛々としながら待っていた。

「高麗茶碗は割れたということですが、どうなってるんですか!?」

その気がなくても男性の大きな声にはやはり、身が竦む。
しかし気にしないフリをして借りてきた茶碗を清め、家元に渡した。

「藤懸屋さんがご厚意で貸してくださいました。
これならあの茶碗と引けを取らないかと思います」

「わかりました、もう時間もありません。
これでいきます」

重々しく頷き、家元は準備をして茶道口の前に座った。

「ほら、みんなもお茶を点てる準備をして」

私の仕事はこれで終わりじゃない。
まだまだやることはたくさんあるのだ。
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