オフィスラブはじまってました




「じゃあ、失礼しますー」
と言って、今日もひなとはバスから駆け降りた。

 待て、と柚月が思っているのも知らずに。

 会社に入り、ちょうど閉まるところだったエレベーターに乗ると、ギリギリのところで、もうひとり乗ってきた。

 すぐに扉が閉まる。

 その女性が乗ったところでちょうど満員だった。

 どんどんみんな降りていき、最後はひなととその女性になる。

 ん?
 てことは、この人、うちのフロア辺りの人?

 初めて見たけど、とひなとはその女性を見る。

 ちょっとだけ茶がかった肩までの髪は裾の方だけ、ゆるくウェーブがかかっている。

 まあ、私、人の顔覚えないし。

 髪型変わってもわからなくなるしな~、と思ったとき、斜め前に立っていた彼女がチラとこちらを振り返った。

 反射的に頭を下げていたが、何故か、彼女は、ふん、といった感じで視線をそらしてしまう。
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