オフィスラブはじまってました
「そしたら、柚月が、ひなとちゃんのお兄ちゃんの(しゅう)ちゃんが昔使ってたっていう椅子が気に入って。

 秀ちゃん、もういらないって言うから、もらって帰ったのよね。

 ほら、今でも庭にあるじゃない。
 あのハムスターの絵がついてるやつ」

 えっ、さっきのあれ、お兄ちゃんの椅子だったのか……。

 どうやら、兄が使わなくなったあと、その椅子は祖母の家に置かれていて。

 それを柚月が気に入り、もらって帰ったようだった。

 それを聞いた柚月が青ざめる。

「俺がこの寝袋ハムスターの面倒をなんとなく見てしまうのは、あの椅子による刷り込みだったのか?

 俺はこのハムスターを拾うように、小さな頃からプログラムされていたのか……?」

 ひとりブツブツと呟き、おのれになにかを問うているようだった。





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