オフィスラブはじまってました
「うん。
 赤いの、似合うじゃないか」

 眼鏡をかけたひなとを見、柚月は、さらっとそう言ってきた。

「あ、そ、そうですかっ。
 じゃあ、フレーム、これにしますっ」
と言いながら、

 いやー、カップルに見えるかもなんて阿呆なことを考えているのは私だけですよね?

 きっと柚月さんは、

 ハムスターも眼鏡をかけるのか、

 ……くらいにしか思ってないですよね。

 このハムスター、コンタクトも入れてますけどね、と思いながら、視力を調べてもらい、レンズを注文した。

 住所を書き込むのを横で見ていた柚月が言ってくる。

「買ってやろうか。
 引越し祝いに、というか、火事見舞いに」

「えっ。
 と、とんでもないですっ」
と振り向くと、腕を組んで小首を傾げながら柚月が言ってきた。
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