オフィスラブはじまってました



 ……まずいな。
 今になって緊張してきたぞ、
と自分の作った中華風スープを飲みながら柚月もまた思っていた。

 あんなにひっついて、ひなとの腕をつかむとか。

 つい指導に熱が入ってしまい、とんでもないことを……。

 今思い起こせば、しょうゆの焦げる匂いに混ざって、鼻先にある、ひなとの髪からいい香りがしていたような気がする。

「……食べ終わったか」

 え、はい……? とひなとが顔を上げた。

「食べ終わったら、今すぐ外に出ろ」

 緊迫した口調で言うと、立ち上がり、食器を片付けようとしたひなとがフリーズする。

「急げっ」

 は、はいっ、と外に出ようとするひなとに、
「そっちじゃないっ、庭だっ」
と柚月は叫んだ。
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