オフィスラブはじまってました
 田中が、
「そういうのって埠頭とかじゃないんですか?」
と言って、入野に、

「埠頭も結構目立つんじゃない?
 でも、本当に犯罪者だったら、ちょっと話聞きたいなあ」
と笑って言われていた。

 そのとき、柚月がビニール袋を手に歩いてきたハットをかぶったスーツ姿の紳士に気づき、挨拶をする。

「おじさん、こんばんは」

「ああ、柚月くん。
 こんばんは」
と言いながら、足を止めたその紳士は澄子の夫、秀継(ひでつぐ)だと名乗った。

 元大学教授で、今も嘱託として、たまに大学に行っているらしい。

「わあ、素敵な方ですね。
 澄子さんが駆け落ちしても一緒になりたいと思うはずです」
とひなとが絵に描いたようなロマンスグレーの秀継を褒めると、秀継は照れたように言ってきた。
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