オフィスラブはじまってました




 階段を上がり、暗いままの201号室の前に立ったひなとは、こちらを振り向き、言ってきた。

「アパートの人も近所の人も澄子さんも、今まで誰も201号室の住人を見たことがないんですよね?

 一度くらい、見知らぬ人がこの辺りをウロつく姿を見てもいいはずなのに。

 201号室の人は、柚月さんより前から住んでるんでしょう?

 幾らコソコソしているといっても、一度も誰にも見られていないのは変です。

 此処、夜でも散歩する人が結構通ってるのに。

 ということはですよ。

 つまり、201号室の住人というのは、誰もが知っている人なんです」

「知っている人?」
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